残念系お嬢様の日常
家に帰ると普段と中の空気が違っている。
いつもはにこやかに「おかえりなさいませ」と言う使用人がどこかぎこちなくて、深刻な面持ちで立っていた。
「真莉亜様。奥様と旦那様、蒼様がお待ちです」
「え、どうかしたの?」
「学院でのことでお話があるそうです」
嫌な予感しかしない。
カバンを使用人に預けてお母様たちが待つ部屋へと向かう。
このタイミングで学院の件で呼び出しなんて一つしか思い浮かばない。
扉を開けるとソファに腰をかけているお父様とお母様が一斉にこちらへ視線を向けてきた。
どきりと心臓が跳ねて、一瞬怯んでしまう。
お父様たちと向かい合うように座っている蒼の隣に座り、普段通りを装って微笑む。
「どうしたの? みんなしてそんな深刻そうな顔をして」