残念系お嬢様の日常


今回の話が広まったのは百合園新聞からだということは雨宮から犯人を聞いたときに教えてもらった。

百合園新聞というのは花ノ姫ファンの女の子たちが集まって作った同好会だそうだ。

そして、その同好会で作っている新聞の記事がすり替わっていて、私と蒼の件が露見した。



『犯人は例の中等部の子だったんだけどさ、百合園新聞って不定期に出しているらしいんだ。その情報を知っているのは同好会メンバーだけ』

「え、例の中等部の子も同好会メンバーだったの?」

『いや、名簿を見せてもらったけど、中等部の子はいなかった。けど、その名簿の中に君が親しくしている人物の名前を見つけたよ』

「……親しくしている人物?」


ドクンと心臓が跳ねる。

文芸部の初恋想を読んでから予感はしていた。


誰が犯人なのか。



「—————」


できれば聞きたくなかった名前が電話越しの雨宮から告げられる。



ああ、やっぱりかと唇から零れた吐息が微かに震えた。







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