残念系お嬢様の日常
「私を陥れようとした犯人は希乃愛よね」
希乃愛の眉がピクリと動き、一瞬笑顔が消える。
「陥れるってどういうことですか? 心当たりがありません」
カバンから蒼に借りている文芸部の初恋想を取り出す。
それを見た希乃愛の目が見開かれ、なにかを察したように苦笑した。
「……今頃」
「希乃愛がレケナウルティアの作者でしょう。この物語は私と貴方と久世によく似た人物が出てくるわ」
「そこまでわかっているのなら、理由も当然わかっているんでしょう」
敬語がとれ、笑顔が消えた希乃愛は別人のように見える。
今までがずっと偽りの姿だったのだろう。
「そこにいる彼も、真莉亜様と同じだと考えてもいいの?」
「ええ」
「本当はあのとき半信半疑だったの。貴方に前世の記憶があるのか」