残念系お嬢様の日常
「それなのにどうしてその冊子を隠したの?」
「最初は探ることだけが目的だった。光太郎と貴方のことを応援しているふりをしていたけれど、それは二人が惹かれあっていないことがわかっていたから」
私が自分と同じように前世の記憶があるのか知りたかった。
けれど、それよりも私を陥れることを優先したくなることが起こったということ?
「あの後から光太郎が本気で貴方を気にしだしたから」
「気にしだす?」
「たとえ婚約者でも光太郎の気持ちが貴方にないということが私にとっては救いだった。それなのに……光太郎の気持ちが貴方に傾き始めた。それだけは嫌だった。そんなの近くで見ているのは耐えられなかった! だったら、貴方を追い詰めて、問題を起こさせて光太郎の想いも冷めさせようって思ったわ」
いろいろと突っ込みたいことが多いのだけれど、私と久世がお互いに結婚を嫌がっている事実は今も変わっていないはずだ。
それに久世が私を想っているなんて誤解だ。
確かに原作よりはマシな関係になっている。
けれど、恋情は混じっていない。