残念系お嬢様の日常


送迎の車は断り、帰り道は夕暮れに染まる道を一人で歩いた。


着実に私の目的が終わっていく。


私に嫌がらせしていた人物を見つけて、阻止できた。

私を殺そうとしていた人物も判明して、本人にはその気がないこともわかった。


久世との婚約破棄も少し時間がかかるかもしれないけれど、破棄する方向へ向かっている。



無性に彼と話がしたくなって電話をかけた。

五コール目が鳴った直後、『もしもし』と彼の声が聞こえてくる。



「婚約の件も無事に破棄する方向へ進みだしたわ」

『そっか〜。よかったね』

「雨宮にも感謝しないとね。いろいろと協力してくれてありがとう。一人で抱えていたら思いつめていたかもしれないわ」



胡散臭くて信用できない。

なんて思っていたのにいつの間にか雨宮に対する警戒心が薄れていた。


希乃愛のことだって、一人だったら怖くて会いに行くことを躊躇したかもしれない。






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