残念系お嬢様の日常
「ダリアの君の見つめている相手ってさ、多分彼じゃないかなー」
「え!?」
ま、まさか! ダリアの君の想い人を雨宮様はご存知ですの!?
私が中等部二年の頃から三年生であるダリアの君が男子校舎を眺めていることが多くなったのだ。
その頃から、噂されているダリアの君の秘めた恋。私たち百合園同好会にとっては、重大ニュースとなってしまった。
ダリアの君の恋を知った親友である撫子の君の心情は……! と議論になったこともある。
そして、ダリアの君が高等部に上がられたことによってお相手は謎のままになっていたけれど、未だにダリアの君が男子校舎を眺めているというのだ。高等部は男女校舎はわかれていない。
ということは、相手は中等部の生徒ではないかという話題が今回の情報の一つ。
書いてはいないけれど、恋のお相手は天花寺様三人組のどなたかではないかと私は思っている。……ああ、書いていなくてよかった。
「教えてあげるから、その代わり全部読んでもいーい?」
「おい」
雨宮様がこの新聞を!? と色々と邪心が混じりそうになってしまった私の元に、桐生様が牽制する声が届いた。