残念系お嬢様の日常



「私もふたりの婚約は正直複雑なの。でも、強引に壊すことだけはしたくないわ」

「……スミレもそう思っているわ」

「最終的には瞳の気持ちを尊重する。それだけは約束してくれる?」


瞳だって本当はハルトさんのことを想っている。

最終的に選択するのは瞳自身だ。

けれど、スミレのいうとおりハルトさんも瞳を想っているのなら、ふたりには向き合ってほしいとも思う。


「わかっているわ。瞳がハルト兄様の想いを知った上で、雨宮譲との婚約を選ぶのならスミレも祝福する」

「そうね。私もハルトさんの本当の気持ちを知りたい。瞳のためになるなら、協力させて」



たとえ、想いを伝え合ってもふたりが別々の道を進んで行くことになったとしても、伝えることには意味があるかもしれない。





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