残念系お嬢様の日常
会いたくなるから困る
あれから二週間が経過したものの、瞳ともあまり会話を交わす機会がなく、雨宮とは一切口をきいていない。
ふたりとも第二茶道室には顔を出さなくなってしまったのだ。
三人でのカシフレの活動も一旦休みだ。
時折、浅海さんやスミレ、天花寺が集まることはあるけれど、みんなどこか元気がない様子で、会話が盛り上がらない。
私は流音様と景人のところにおじゃましてお昼を食べることが多くなった。
なんとなく帰る気分にならなくて、放課後にひとりで校内をふらつく。
開いている窓から冷たい風が吹き抜ける。
季節はすっかり冬を纏い始めて肌寒くなってきた。
制服は春夏秋冬に分かれているので、そろそろ冬服に変えた方がいいかもしれない。
たどり着いた部屋の前で足を止める。無意識にここに来てしまったようだ。
誰もいない薄暗い第二茶道室。
ここでみんなで楽しく過ごしていた。
それに雨宮とここで待ち合わせをしたこともあった。
携帯電話を取り出して画面をチェックしても、着信もメッセージも届いていない。
「……バカみたいだわ」
ぽつりと消えそうな声で呟いた。
声が聞きたいとか、話したいとか、会いたいとか。
そんなこと思うなんてどうかしている。