残念系お嬢様の日常


想像とは違う返答に思わず携帯電話を落としそうになってしまった。

このタイミングでそんなことを言われると勘違いしてしまいそうで私の方が困る。


……私は電話する前から会いたいんですけど。

なんて恥ずかしくて言えない。


自分じゃないみたいだ。最近なんだか自分が変だ。



『やっぱり諦めるのは無理。だから……もう少し待ってて』

雨宮の声が少し緊張をはらんでいるような気がした。


「え……どういうこと?」

『父のことも、真栄城さんのことも』

「それってどういう……」

『きちんとするから』

なんの話なのかわからない。

それに雨宮は今回の件でなにかしらしようとして動いているということ?

天花寺の話だと、雨宮は基本的に父には逆らわないと言っていた。

それなのにお父さんたちが進めようとしている婚約を止めようとしているの?



「大丈夫なの?」

『俺を信じて』

「……わかったわ」

久しぶりに話した雨宮はいつもよりも覇気がない気がしたけれど、このあと用事があるらしく、詳しくは聞けないまま電話を終えた。


雨宮の計画も、スミレのひらめきも私にはわからないけれど、それぞれが考えて動き出している。


瞳のバースデーパーティーはもうすぐだ。





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