残念系お嬢様の日常
「真栄城瞳さん、君のことが好きだよ」
どこからか興奮した女性が「きゃあ」なんて歓声を上げたけれど、瞳は目を見開いたまま時間が止まったかのように立ち尽くしている。
「いつも傍にいてくれてありがとう」
自分のことが好きなのだと今まで実感したことがなかったのか、呆然としていた瞳がみるみる顔を赤く染め上げていく。
「わ、私のこと……好き、なんですか」
「うん」
「い、妹の友達としてではなくて?」
「違うよ。一人の女の子として特別なんだ」
真っ赤な顔を隠すように俯いた瞳は、微かに震えた声でハルトさんの名前を呼んだ。
「ハルトさん」
「うん」
「……私の幸せはハルトさんが傍にいてくれることなんです。最後なんて言わないで。……私を突き放したり、置いて行こうとしたり、冷たいこと言わないでください」