残念系お嬢様の日常
戻ってきた平穏
あれから瞳はお父さんとも話をして、ハルトさんとの付き合いも認めてもらったそうだ。
雨宮と瞳の婚約の話も消え、第二茶道室にはいつもの賑やかさが戻ってきたのだけれど、今度は私が行きにくい。
「で、お前はなにやってんだよ」
そして何故かカウンセリングルームで桐生兄弟と向かい合うように座らされている。
この兄弟……いつの間に仲良くなっているのよ。
「譲と真栄城の婚約がなくなったから余裕なんだろうね」
「紅薔薇は余裕なのか」
うさぎのパペットが大きく口を開けて、パクパクとさせている。
流音様は誕生日パーティーの時は和風美少女だったけれど、すっかり元通りだ。
「余裕とかじゃありません。ただ……どうすればいいのかよくわからないだけよ」
雨宮と話をしたほうがいいのはわかっている。
けれど、いったいなにから話せばいいのやら。