残念系お嬢様の日常
「雲類鷲さん、さっきはありがとうございました」
ホームルームが終わり、浅海さんに呼ばれて廊下の端っこまで連れて行かれた。
「いえ……私もついカッとなってしまって……驚かせてしまってごめんなさい」
あの時はついつい攻撃的になり、刺々しい言い方になってしまった。
でもまあ、私に疑いをかけられるよりはマシだ。原作通りに私が疑われてたまるもんか。
「雲類鷲さんが消してくれたとき、嬉しくて……それにすごくかっこよかったです」
「え」
「本当にありがとうございました」
自分が疑われないようにとか不純な気持ちもあったので、目の前の純粋な浅海さんを見ていると少し胸が痛む。
「うん、雲類鷲さんかっこよかったよね」
「えっ!?」
振り返れば、いつの間にか天花寺が立っていた。のほほんとした微笑みを浮かべている天花寺がちょっとアホっぽく見えるのは気のせいだろうか。
それより、なに立聞きしてんだ。