残念系お嬢様の日常
「明石さん、浅海くんももう貴方が犯人だということを知っているわ」
「えっ!?」
「それでも、浅海くんは今後しないと約束できるのであれば、この件は他の人には言わないと言っていたわ」
こういうところがお人好しでいい子なヒロインなんだよね。前世でも、浅海さんは読み手からあまり憎まれない少女漫画ヒロインだった。
泣きじゃくる明石さんを宥めようと、肩に触れようとした時だった。私は顔を引きつらせたまま硬直した。
教室のドアの丸窓から、不審人物の姿が見えたのだ。
……あれは、やばい。恐ろしいくらい目を見開いて、私と明石さんを見ている。ものすごく怖い。まるでホラーだ。
「あ、あの明石さん」
「真莉亜様……っ、ごめんなさい」
「いえ、その……」
お願いです。泣き止んでください。
スミレがめっちゃ見てます。