残念系お嬢様の日常


「えっ!?」

「うふふ、可愛いテディベアでしょう。この子はスミレのお友達なの」

小学生かって突っ込みたくなるくらい子どもじみた慰め方だけど、スミレだから可愛らしくて許せてしまう。

一言で言えば、可憐。……これがスミレ。もう一度言う。これが〝あの〟スミレ。


「涙が止まってよかったわ。もう泣かないで? 目が腫れてしまうわ」

「そうだね、可愛い顔が台無しだよ」

猫かぶりのスミレと女たらしの瞳のコンボ技に明石さんは頬を染めて、口をぱくぱくとさせている。


「大丈夫ですわ」

スミレは明石さんの肩にそっと手を乗せると、慈悲深い口調で話を続けた。


「こんなに泣いて反省しているのですもの。少しキツそうで怖そうで、冗談が通じなさそうに見えるけれど話せばわかってくれるはずだわ」

一体誰の話をしているんだ。


「スミレも最初は怖くて、なかなか声をかけることができずにいましたわ」

これはおそらく浅海さんのことじゃない。何かとんでもない誤解している気がする。





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