残念系お嬢様の日常
「真莉亜、そろそろ許してあげて」
はい!? 私のことだったの!?
薄々嫌な予感はしてたけど、そんな風に見られてたのか。
まあ、教室で二人っきりでいて片方が泣いていて、もう片方は私だとそう見えなくもないかもしれないけどさ。
「ち、違うんです! 真莉亜様は何も悪くないんです」
「大丈夫よ」
慌てて否定して首を横に振る明石さんにスミレは聞く耳を持たず、「そんなに怯えないで」とか言って話を全く違う方向へ進めようとしてくる。
「真莉亜、スミレは全てお見通しよ!」
何にも見通せてないけど。
「スミレ、ちょっとストップ。二人の事情をきちんと聞こう」
そう言ってくれた瞳によって、私と明石さんは本日起こった出来事を話して誤解を解いた。
スミレの顔色はみるみる青ざめていき、私からの冷たい視線から逃れるように俯いていた。