残念系お嬢様の日常


東校舎に入ったところで、瞳が悩ましげにため息を吐いた。

「それにしても早速嫌がらせか。私もその辺りは目を光らせていないといけないかもしれないな」

「どうして瞳が目を光らせるの?」

きょとんとした表情でスミレが小首を傾げた。その様子に瞳は苦笑してスミレの頭に手を乗せる。


「別にスミレがやってもいいんだけど、やらないだろうし。立ち位置的にも私が妥当なんだろうなって」

瞳は困っている人がいたら放っておけないタイプなのだろう。

私たちの代の『花ノ姫』の中で瞳が一番常識人な気がする。

何か問題が起これば『花ノ姫』という学院の中だと一目置かれている存在である私たちが動いたほうが解決しやすいはずだ。

でも、実際『花ノ姫』のメンバーがそんなことするのかっていうと、どうでもいいって感じで放っておく人の方が多いと思う。


特に片桐英美李や綾小路雅、パペットちゃんなんかは厄介ごとには首を突っ込まないだろう。

気に食わない相手になら別かもしれないけど、自分たちに関係のない女子生徒同士の争いごとなんて興味ないってタイプだ。





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