大関くんの背中は暑かった。
「……では、最後に今までお世話になりました先生方へ在校生から花束を贈呈したいと思います。」
_____パチパチパチパチ
たくさんの拍手の音と共に壇上の先生方がお辞儀をする。
中には涙を流す先生もいた。
「星奈〜!!」
校門を出ようとしたところを佐々木くんに呼び止められた。
「佐々木くん、どうしたの?」
「…どうしたのって、また離任式で会おうって言っただろう?」
「あぁ、ごめんね。私今からお父さんと病院に行かなきゃいけなくて。」
「病院?星奈どこか悪いのか?」
心配そうな顔で見つめる佐々木くん。
「!!…いや、べつに、ただの風邪だよ」
とっさについてしまった嘘。
どうかこれで納得してほしい。
「…?…そうか?お大事にな。またメールするわ。じゃ、」
そう言って、ちょっと納得いっていないとう顔をした佐々木くんは自転車に腰をかけて走り去っていった。
「…き……り……姫織!」
「あ!お父さん!」
運転席の窓から顔を出して私を呼ぶお父さんを見て私は足早に車へ駆け寄る。
「ごめん。少し遅くなった」
「ううん!大丈夫だよ!」
「…今の男の子は?」
「……彼氏だよ。」
「そうか。」
少し暗い顔をしてエンジンをかけ直す。
「よし、行こうか!」
「…うん。」