3年経ってしまった、消せない話


「…………」

目が覚めた…そんなに時間は経っていないはず。

何故ならまだ少し騒がしいから。
丁度ノックする音が聞こえた。適当に返事をした。

多分兄貴だろう。さっき食事を持ってくると言ったから。

しかし入ってきたのは違う奴だった。従兄弟の由生(ゆう)であった。


「一咲(いっさ)兄はおばあちゃんと一緒に、うちとそっちの両親介抱してるから」


聞こうと思った事を聞く前に答えてくれた。

勘だけはこいつが1番鋭いんじゃないかと思う。

由生は持ってきた食事を置くと、こんな事を言った。


「流(りゅう)兄もバカだねー…こんな時期に風邪なんてさ」


何でこいつもバカというんだろう?さっきのメールを思い出した。

呆れて返事を返す気力もなかった。だから適当な話題に切り替えた。


「此処に住んでいてどうよ?」


「別に?」


即答だった。これじゃあ会話が続かない。

どうしようかと迷っていると、奴がまだ包帯を巻いている事に気付いた。


「…怪我もしてないのにまだしてるのか?あの出来事から大分経っているのに」


「っ、流兄も五月蝿いな・・ほっておいてくれる?」
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