3年経ってしまった、消せない話
「何時…な、おるの…で…す、か…?」


白の人間は初めて別の言葉で答えた。


「もう直ぐだよ」


薄い青を纏った人間は、とても嬉しそうであった。

無理矢理笑ったその人間は、目を閉じて動かなくなった。


数日後。

白の人間は遺体となった人間が日々を過ごした、あの空間にいた。

空のベッドしかそこにはなかった。


「こうするしかなかったんだよ」


白の人間は自らの手の中を見た。

そこには動かなくなる前日に渡した薬があった。

遺体となった人間への最後の薬である。


「一晩で、治っただろう?」


そう言って、白の人間は初めて一筋の涙を流したのであった。
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