3年経ってしまった、消せない話
生活規則も少しだけ束縛された。

そんな過酷な生活。少女は改めて後悔した。

生きて自分が臆病だと実感している方が良かったと。

どうしてこれは夢じゃないのだろうかと。

向こうの世界は自分からすれば残酷な世界だと。

自分を束縛するくらいの翼ならこんなモノはいらない、と。


「あなたなら私を救ってくれるんじゃないかって、この翼を消してくれると思った」


結局は無理な話だったのだ。少女が苦しみから逃れられるのは翼をかき消す事だった。

人間は翼があれば何処へでも行けると思いこみ、向こうの世界へと行こうとする。

向こうの世界へと行こうとしない、翼を頼らない人間にしかそれは出来なかった。

誰かから聞いたその方法しか、消す事は出来ないと少女は思っていた。
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