雨が降る 黄昏時と夜のこと

翌日、小沼くんは視力が急に落ちたからと先生に直談判し、私の隣から最前列の席へと移っていった。そうして、本当に私とは口をきかなくなった。


それが功を奏したのかなんなのか、小沼くんが前より少しだけ雅ちゃんと話すようになったからか、夏休みに入ったからなのかはわからないけど、私へのいじめは徐々になくなっていき、五年生を終える頃には、いじめられる前の穏やかな状況に戻っていた。


小沼くんと再び口をきいたのは、高校生のとき。


中学生のときも、実は一度だけ学校の階段の踊り場で声をかけられた。けど、近づいてくる誰かの気配に私が怯えると、小沼くんは走り去っていってしまった。


頭がいい小沼くんと、義務教育が終了しても進学先が同じことに驚いていたら、図書室で鉢合わせをした。もう接することに怯えはしなかったものの、小学生の頃の出来の良さが順調に継承され成長し続けてきた、モテること間違いなしだろうな顔にビビっていると、頭を下げられてしまった。


私こそと謝れば、じゃあもうその話は終わりだと、以後、小沼くんと私はやっと、安心して友人関係を築けるようになる。


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