雨が降る 黄昏時と夜のこと

お互いが唯一無二の友人ではないし、他の友人もたくさんいる。べったりな関係になるはずはないし、適度な心地よい付き合いは、順調に進む。けど、通話やメッセージに頼ってしまったり、会って話すときになんとなく人目のないところを選んでしまうのは、お互いにあのときのことをどこかで気にしてしまっているのか。


まあそれでいい。雅ちゃんはもういなかったけど、小沼くんは色々と慕われる人だから。


「芹沢と話すのはやっぱり楽しい」


あのときと同じように言ってくれる小沼くんの、外見だけでなく中身のほうも順調な成長に敬服しながら高校生を過ごし、同じ大学で四年を過ごし、同じ会社に就職し、席替えといい何か縁があるのかもねと驚きながら、そのことに笑う私がいた。


「私も、小沼くんと話すの楽しいよ」


小沼くんに、実は私もずっと言いたかったのだ。




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