春雷
「ところで、高村先生は、レッドイーグルがどうしてお好きなんですか?」
高速道路もいよいよ出口に近づいた。
雨は激しい地域を過ぎ、空は少し明るさを取り戻した。
「あ、はい、僕少し韓国に滞在していたことがありまして、その時にまだ売れていない彼らと同じマンションに住んでいたんです。まだ若い男の子たちでしたけど、毎日近くの公園で、一生懸命ダンスの練習をしていた姿に惹かれました」
「えー!!!?本当ですか?!」
「はい、本当です。なんなら証拠をお見せしますよ」
と、高村先生は黒いジャケットのポケットから黒いレザーケースのスマホを取り出した。
さっ、さっ、と、長い指で操作をして、信号待ちの私に、スマホを近づけて一枚の写真を見せた。
「あーーーっ!うそでしょーー!!」
スマホには
まだ垢抜けていないレッドイーグル四人と、笑顔の高村先生が仲良さげに写っていた。
しかしそれより驚いたのは
「せ、先生、アイドル事務所にいたんですか?
なんか、この四人に囲まれてても全く違和感ないんですけど‥」
レッドイーグルのメンバーは
歌も上手いし、日本語も上手だけど、何より
四人のスタイルが抜群に良い。
そんなメンバーに劣らず
小顔で笑顔の、今より少し髪が長い高村先生は
アイドルそのものだった。
信号が青になり、彼はスマホを戻した。
「まさか、アイドル事務所なんて!少し語学を勉強していたんです。それに彼らとは一回り以上歳が違いますよ。なんなら、この写真、おくりましょうか?」
脅威のアンチエイジングだ‥
「お、お願いします!!!」
※※※※※
「えっ!ええええー!!レッドイーグルじゃん!!!いや〜んっめっちゃ可愛い!!!」
高村先生を自宅マンションまで送り届けて、
自宅に帰ってすぐ、いただいたばかりの写真を娘の由乃にみせた。
娘は予想通り食いついた。
「違う学部の先生がね、レッドイーグルと昔同じマンションだったんだって!日本にその先生が帰国する時に一緒に撮ったんだって!」
娘は
ん?と、首をかしげる。
「一緒に?撮った?どこにその先生いるの?」
「いるじゃない。真ん中に。メンバーは、夜中の公園で、よく練習してたらしいよ。リンはマンションの近くの麺屋さんで、アルバイトしてたんだって」
「真ん中⁈これ、事務所のアイドルじゃないの!?これ、先生なの⁉︎信じられない!先生っていうから、おじさんかと‥」
うん。
そうだね。
先生には見えないよね‥
その写真、16、17のメンバーと、変わらないよね。
私は心の中で呟いた。
「さ、私着替えてくるわ。傘忘れてびっしょりになった」
「うん、ありがとうー!もうちょっとスマホ見てていい?」
よほど気に入ったらしい。
「うん。いいよ」
ちらりと、先程高村先生と連絡先を交換したことが頭によぎった。
いや、ただの職場の人とのメール交換だし、ね。
やましいことはこれっぽっちもない。
「そのスカート、やっぱりすごく綺麗だよ!今日は雨で残念だったけど、どんどん履いてみて!」
由乃ちゃんは
私に購入を勧めてくれた、藤色のスカートを、とても褒めてくれた。
優しい女の子だ。
湯船に浸かって、
今日一日の出来事を反芻する。
寒くて、
ビショビショになったし、とんでもない一日だった。
だけど
「あんなかっこいい人と、車に乗ってしまった‥。」
目をつむり、高村先生のスタイルを思い浮かべた。
背丈は、並ぶとこれくらいで‥
髪は少し茶色だった?
唇はわりとふっくらしてて。笑うと綺麗な白い歯が見えて素敵だったなあ‥
「ふふふ。良い思い出になった」
もう二度と関わることもないだろう。
学部も違うし。
楽しかったな。
私の良い思い出‥。
高速道路もいよいよ出口に近づいた。
雨は激しい地域を過ぎ、空は少し明るさを取り戻した。
「あ、はい、僕少し韓国に滞在していたことがありまして、その時にまだ売れていない彼らと同じマンションに住んでいたんです。まだ若い男の子たちでしたけど、毎日近くの公園で、一生懸命ダンスの練習をしていた姿に惹かれました」
「えー!!!?本当ですか?!」
「はい、本当です。なんなら証拠をお見せしますよ」
と、高村先生は黒いジャケットのポケットから黒いレザーケースのスマホを取り出した。
さっ、さっ、と、長い指で操作をして、信号待ちの私に、スマホを近づけて一枚の写真を見せた。
「あーーーっ!うそでしょーー!!」
スマホには
まだ垢抜けていないレッドイーグル四人と、笑顔の高村先生が仲良さげに写っていた。
しかしそれより驚いたのは
「せ、先生、アイドル事務所にいたんですか?
なんか、この四人に囲まれてても全く違和感ないんですけど‥」
レッドイーグルのメンバーは
歌も上手いし、日本語も上手だけど、何より
四人のスタイルが抜群に良い。
そんなメンバーに劣らず
小顔で笑顔の、今より少し髪が長い高村先生は
アイドルそのものだった。
信号が青になり、彼はスマホを戻した。
「まさか、アイドル事務所なんて!少し語学を勉強していたんです。それに彼らとは一回り以上歳が違いますよ。なんなら、この写真、おくりましょうか?」
脅威のアンチエイジングだ‥
「お、お願いします!!!」
※※※※※
「えっ!ええええー!!レッドイーグルじゃん!!!いや〜んっめっちゃ可愛い!!!」
高村先生を自宅マンションまで送り届けて、
自宅に帰ってすぐ、いただいたばかりの写真を娘の由乃にみせた。
娘は予想通り食いついた。
「違う学部の先生がね、レッドイーグルと昔同じマンションだったんだって!日本にその先生が帰国する時に一緒に撮ったんだって!」
娘は
ん?と、首をかしげる。
「一緒に?撮った?どこにその先生いるの?」
「いるじゃない。真ん中に。メンバーは、夜中の公園で、よく練習してたらしいよ。リンはマンションの近くの麺屋さんで、アルバイトしてたんだって」
「真ん中⁈これ、事務所のアイドルじゃないの!?これ、先生なの⁉︎信じられない!先生っていうから、おじさんかと‥」
うん。
そうだね。
先生には見えないよね‥
その写真、16、17のメンバーと、変わらないよね。
私は心の中で呟いた。
「さ、私着替えてくるわ。傘忘れてびっしょりになった」
「うん、ありがとうー!もうちょっとスマホ見てていい?」
よほど気に入ったらしい。
「うん。いいよ」
ちらりと、先程高村先生と連絡先を交換したことが頭によぎった。
いや、ただの職場の人とのメール交換だし、ね。
やましいことはこれっぽっちもない。
「そのスカート、やっぱりすごく綺麗だよ!今日は雨で残念だったけど、どんどん履いてみて!」
由乃ちゃんは
私に購入を勧めてくれた、藤色のスカートを、とても褒めてくれた。
優しい女の子だ。
湯船に浸かって、
今日一日の出来事を反芻する。
寒くて、
ビショビショになったし、とんでもない一日だった。
だけど
「あんなかっこいい人と、車に乗ってしまった‥。」
目をつむり、高村先生のスタイルを思い浮かべた。
背丈は、並ぶとこれくらいで‥
髪は少し茶色だった?
唇はわりとふっくらしてて。笑うと綺麗な白い歯が見えて素敵だったなあ‥
「ふふふ。良い思い出になった」
もう二度と関わることもないだろう。
学部も違うし。
楽しかったな。
私の良い思い出‥。