春雷
2015年 春 事件
*******
三月。
私と由乃のため息は深い。
お互いに、悩みがあるのだ。
昼食の片付けが終わったら、
当選したレッドイーグルのツアーの細々としたことを打ち合わせしようと、二人で
リビングに集合したのだが、
今、私たちは各々で、トラブルに巻き込まれており、つい、その話になった。
「部活のメンバーがさあ、辞めるって言ってんの。それがさあ、理由がさあ、
サボった、サボってないとかで、同じ学年の子たちと揉めたみたいで」
♪ ピコピコ〜ピコン
由乃ちゃんのスマホのメール着信。
彼女は少し確認して、ウンザリした顔をする。
「それから、辞めるって言ってる子の文句ばっかり、部活のグループメールで流れてきてさあ、空気悪いんだわー」
あー、と言って、彼女は両手を頭の後ろで組んだ。
「そっかあ‥。悲しいねぇ‥。
私はさあ、ゼミの学生が、彼氏に暴力を振るわれたらしくって、泣きながら相談してくれたんだ。彼氏の名前きいたらさあ、私の授業をとっている男の子だったのよ‥」
「うっそ!やっだあ!クズだねっ!!警察行った方がいいんじゃない?!」
「うん。それも踏まえてね、彼氏と一度、話した方がいいのかなあ‥聞いた以上は、ほっとけないなあ‥」
「いやいや、先生がそこまでしなくてもいいんじゃない?カップルの揉め事に先生が入るとか、聞いたことないよ」
「う〜ん。たしかにそうだわ‥」
これが、のちに大事件を起こす引き金になろうとは、この時の私はちっとも気づいていなかった。
人生史上最悪の春が始まる。
三月。
私と由乃のため息は深い。
お互いに、悩みがあるのだ。
昼食の片付けが終わったら、
当選したレッドイーグルのツアーの細々としたことを打ち合わせしようと、二人で
リビングに集合したのだが、
今、私たちは各々で、トラブルに巻き込まれており、つい、その話になった。
「部活のメンバーがさあ、辞めるって言ってんの。それがさあ、理由がさあ、
サボった、サボってないとかで、同じ学年の子たちと揉めたみたいで」
♪ ピコピコ〜ピコン
由乃ちゃんのスマホのメール着信。
彼女は少し確認して、ウンザリした顔をする。
「それから、辞めるって言ってる子の文句ばっかり、部活のグループメールで流れてきてさあ、空気悪いんだわー」
あー、と言って、彼女は両手を頭の後ろで組んだ。
「そっかあ‥。悲しいねぇ‥。
私はさあ、ゼミの学生が、彼氏に暴力を振るわれたらしくって、泣きながら相談してくれたんだ。彼氏の名前きいたらさあ、私の授業をとっている男の子だったのよ‥」
「うっそ!やっだあ!クズだねっ!!警察行った方がいいんじゃない?!」
「うん。それも踏まえてね、彼氏と一度、話した方がいいのかなあ‥聞いた以上は、ほっとけないなあ‥」
「いやいや、先生がそこまでしなくてもいいんじゃない?カップルの揉め事に先生が入るとか、聞いたことないよ」
「う〜ん。たしかにそうだわ‥」
これが、のちに大事件を起こす引き金になろうとは、この時の私はちっとも気づいていなかった。
人生史上最悪の春が始まる。