春雷
目が覚めたら、僕の事だけ好きになってくれたらたらいいのに。
(ああ。)
彼女をこんな目にあわしたあいつを、めちゃくちゃにしてやりたい。
全て終わってもいいから、酷い目に合わしてやれば良かった。
残虐な気持ちが収まらず、
彼女の手をそっと話して、顔を手で覆った。
自分は、相当まいっているようだ。
「どうしてこんな事に‥」
それは、
昼間の事だった。
午前の授業を終えて、
片付けに入っていた。
生徒達に、ランチに誘われたが、
事務所に行かなければならないので、断った。
事務所で書類を提出し終わり、昼食に行こうとしていたら、事務の女性が旅行の土産だと、可愛らしい包みに入ったチョコを差し出してくれた。
御礼を言って受け取った。
ふと、良いアイデアが思い浮かんだ。
(そうだ、柴田先生と食べよう)
僕は廊下でスマホを取り出し、
彼女の連絡先を探した。
プルルルル
プルルルル
(出ないな‥忙しいのかな
長いコールをかけても出ないので、
切ろうとしたその時、
応答の反応があった。
「あ、もしもし、柴田先生?今お‥」
「せっ!センセッッ!!!‥先生ッ!!!」
「⁈」
彼女の荒い息と、何か異様な争う音がする。
「柴田先生っ!どうしたのっ⁈」
「先生っっ!助けて!!!!」
あまりにも悲痛な声が聞こえた。
ひ、非常事態だ!!
背中に嫌な汗が流れた。
激しく動悸がする。
「先生っ!!先生っ!!!大丈夫⁈どうしたのっ?!
今どこっ?!」
「け、けんきゅしっ‥!」
プーッ。
電話が切れた!!!
「すぐ行くッッ」
僕は無我夢中で走り出した。