春雷
昼休憩であふれてる学生を
かき分けて猛烈に走った。
学生達が驚いている。
ぶつかっても構わず走り続けた。
嫌な予感しかない。
物凄く大変なことが彼女の身に起きている。
「くそっっ‥遠い‥!」
外は小雨が降り出していて、
湿った芝生に足を取られて靴が片方脱げた。
それでも構わず研究室棟の扉を開け、
三階まで一気に駆け上がった。
柴田先生の研究室の前には
すでに、何かを察したのか村上先生と、もう一人先生らしき人が、
ドアとガンガンと叩いていた。
「しばたせんせーっ!!しばたせんせーっ」
「中にいるのーっ?!どうしたんですかーっ」
血の気が引いた。
ドアに鍵がかかってるのか?!
「あっ!高村君っ!!」
村上先生が僕に気づいた。
「ハアっ‥ハアっ‥
柴田先生っ‥どうしたんですかっ⁈電話かけたら、『助けて』って言ってたんです!どうなってんですかっ!!!」
息をなんとか整えて、分厚いドアをにらんだ。
「えええっ!ほんとですかっ!私、柴田先生の隣の部屋なんですが、突然すごい物音とかと、
男の怒鳴り声が聞こえて、様子見にきたんですよ!!そりゃまずい!」
僕は鍵が閉まっているのか確認した。
やはり硬く閉じている。
僕は声を張り上げた。
「先生っ!柴田先生っ!高村です!そこにいるんですかっっ?!」
その途端、中から悲鳴と何かが崩れる音がした。
まずい!