春雷
「琴葉さん、今日のパスタすごいね。どうしたの?」
茹でまくりすぎた麺と
焦げたミートソース。
「ちょっと‥トラブルがありまして‥」
「ママがトラブル⁈大丈夫⁈由乃の塾、送っていける?」
帰宅した夫がビールを出しながらそう言った。
「ああ、それは大丈夫だよ」
「ほんっと父さんて、琴葉さんの事、自分の都合よく使えるか、使えないかとか、そういう見方しかしないよね!」
由乃ちゃんが突然、声を荒げた。
昨日の喧嘩の残り火だ。
「そんな事ないよ」
「あるよ!じゃあなんでまず琴葉さんの体の心配しないのさ!!
いつもそう!自分の手足みたいに琴葉さん使って、なんとも思ってない!」
「ゆ、ユノちゃん‥いいよ、大丈夫だよ」
「良くない!私の将来もホントのとこどう思ってんのか、私もわかってるんだからね!
自分が不安になりたくないから私に勉強とか
塾行かせてんでしょ?
結局パパは自分のことしか考えてない!!」