春雷
夫は黙って、由乃ちゃんの話を聞いていた。
由乃ちゃんはむっつりとしながら、
夫から一番遠いイスに座り、皿を引き寄せて
口にパスタを詰め込んでいく。
味わってなどいなさそうだ。
夫も、私も、黙ってパスタを口にした。
由乃ちゃんの言い方は強火だったけれど、
的確な指摘だった。
よく、夫を見ている。
だけど、人は正しいと思って伝えても、
はい、言うとうりにします、
そういう人はまずいない。
夫には由乃ちゃんの言葉がどう伝わっただろう。