春雷
「どうしたの?高村先生の急用?‥て、訳じゃないよね?喧嘩したの?電話出てあげなよー」
「いや、ゆのちゃん!!
つこれは、喧嘩じゃないんだよ、なんでもない!ほんっと何もない!」
「そう?でも、高村先生、この時間の琴葉さんの予定、私に聞いてきたから‥」
由乃ちゃんは、玄関をガチャリと開ける
「多分、来てると思うんだよねー、て、ほら、やっぱりいた」
車の置いてあるガレージの先に、身を潜ませているつもりなのか、ひょっこりと顔だけを出して、悲しそうな子犬の目でこちらをみている高村先生がいた。
腰を抜かしそうになった。
(うっ嘘だろーーーっ!!!)
「あの先生さあー、やってること、まあまあぶっ飛んでるよね‥ストーカー規制かかるよね‥イケメンだから、ウケるけど」
私はとりあえず夫に彼が見つからないように
急いでドアを閉じた。
「たっ!たかむらさん!?な、なんで‥!」
「琴葉さあん、ダメだよ!あんなに着信あんのに無視するなんて。普通の人なら、嫌われたかなーとか、怒ったのかなーて、思うんだろうけど、あの人、事件だ!て、思って私に連絡してくるんだよ?」
すげーな、敵陣乗り込んできた。
由乃ちゃんはそう囁いた。