春雷

「うわ‥!すごい‥」

高村先生の部屋は独身男性の部屋にかかわらず、かなり、いや、すごく整頓されていた。
部屋の壁には一面の本棚。きっちりと並べられていて、図書館のようだ。
それでいて室内は最低限のシンプルな家具。
明らかに一人暮らしのそれだが、
机に散乱するものもなく、美しかった。
キッチンには
ちゃんと調理をしているなりが伺えるが、
それでもとにかく整っている。

「すごく‥綺麗ですね‥」

最低、夫のように靴下ぐらい転がってないかと探してみたが、靴下どころか塵一つ床にない。

「いえ‥ゴホ、いつもより散らかってます」

「どこが!?」

彼が指指した先は部屋の片隅。
何冊か冊子と本が積まれていた。

近づいて見てみると、

「!先生、これ‥っ!」

フランス関連の紹介雑誌と
フランス語初心者の教科書たちだった。

「ハイ‥貴女と、由乃さんにと、集めまして‥。ああ、顔が怒ってらっしゃいますね‥。ゴホ。
わかりました‥今日は、お説教に来られたんですね‥。観念します。ではお茶を‥ゴボッ!ゴホッ!!!」


「もう寝てくださーーいっ!!!!」
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