春雷
私は観念して、ベッドの側のラグに膝をついた。
「僕が、嫌いになりましたか?」
切ない眼をして、私を見上げる。
心臓の動悸が止まらない。
彼の手も熱くて、こっちまで熱が出そうだ。
「た、高村先生が、何も言わなければ、私、気づかないでいれるんです。知らないふりができるんです‥」
気づいたら、終わる。
全て失う。
「どうして、どうして私なんですか‥?先生の言葉で、私いつも頭の中がぐちゃぐちゃになります」
好きになっちゃいけない。
これ以上この人を想ってはいけない。
この人を思うと、胸が痛みだすのはいつからだっただろう。
彼のだるそうな瞳が、途端にキラキラと輝いた。
「柴田先生!僕、嬉しいですよ。僕のせいで貴女が乱れるなんて、想像するだけでゾクゾ‥ゲホッゲホッ!!!」
「な、な、何言ってんですかあーっ!!!」
やっぱり変だ!この人!
無理!やっぱり無理ー!!!
私は転がるように高村先生からにげだした。