ポーカーフェイス
「あー…そりゃ不安になるよね…」

「ちょっと試してみればいいんじゃない?」

「え?」

「しばらく音信不通になってみるとか」

「あー、向こうから会いたいって言ってくるまで、こっちからは一切連絡しない!てやつね」

「そうそう、それでダメだったら、向こうに気持ちがないんだから付き合ってても無駄じゃん?」

「そうだよね…」


友達からの提案は、茉那も考えていたことだったが、どうしても勇気が出なかった。


しかし、このアドバイスが背中を押すことになり、茉那は行動に移すことを決心した。



友達と別れた帰り道、繁華街を歩いていると


「あれ、茉那ちゃん?!」


と前方から男性の声がした。


「あ、三波先輩…!」


茉那の大学の先輩であり、司の高校の先輩でもある、三波先輩が笑顔で手を振っていた。



「元気-?」

「はい、三波先輩もお元気そうでー」

「うん俺は見ての通りよ(笑)」


三波先輩は、見た目も性格も司と真逆。

気さくで誰にでもフレンドリー、ちょっと派手好きで女たらしだけど、それも愛嬌。


三波先輩は持っていた紙袋から何かを取り出した。


「これ、あげる」

「え」

「さっき、そこの店で買ったお菓子。もう妹が人使い荒くてさー。パシリ(笑)」

「いいんですか…?」

「当たり前じゃん!」

「ありがとうございます(笑)」

「やっと笑ってくれたー」

「え?」

「うつむいて歩いてたから心配した」

「うつむいてました…?」

「……もしかして司と何かあった?」
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