常盤の娘
と。唐突に東条が純花の手をとった。
「部屋に戻るぞ」
「うん?」
「ほれ」
突然、何よ。純花が不思議な顔をしていると、東条が視線を流した。東条の視線の先を追うと、両家の両親が襖を開けてこちらの様子を窺っている。もう夕食の時間だ。純花と東条に声をかけるタイミングをみているのだろう。
「あ」
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