常盤の娘
「あれ、いやに素直だな。高校時代の常盤はちょっと笑いかけただけで、フーフー威嚇してきたのに」
純花は赤面した。元々、気の強い純花である。エネルギー保存の法則にしたがい、顔面の熱エネルギーは、同程度の怒りに変換される。
「馬鹿にしているの?もう二十七よ。私の精神年齢が高校生で止まっているとでも?」
くすり。東条は口元を緩めた。ピキリ。純花のこめかみに青筋が浮かぶ。それを見ても、東条は余裕の笑みを浮かべたままとぼけてみせた。
「どうだろうね」
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