常盤の娘
待ち合わせの時間から三十分。純花と東条の二人はまだハチ公前にいた。一度痛い目をみた東条は、純花と手をつなぐのをやめ、彼女の肩を抱いている。さらに近づく距離。精神的に近づいているか、甚だ疑問ではあるが。

「それで、なにかプランはあるの?」
「夕飯の店以外は特に何も」
純花が提案する。
「じゃあ、映画館はどう?私、見たい映画があるの。≪砂漠に潜む魔物≫っていう映画なんだけど」
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