42歳 主婦 旦那様に片思い中【佳作受賞】
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純ちゃんがアイスを買ってきてくれた。

おやつによく食べるラクトアイスじゃなくて、違うショーケースに入ってる高級アイスクリーム。

夕食後に三種類のアイスを並べて、

「咲笑、どれがいい?」

と純ちゃんが私の顔を覗き込む。

「私、チョコの。」

苑が先に答える。

「ダメ! お母さんが先!」

「えー!?」

純ちゃんが苑を止める。


なんで?

純ちゃん、他に好きな人がいるんでしょ?

浮気をごまかすため?

バレてないと思ってるの?


私はストロベリー味を選んで、無言で食べた。

今、口を開いたら、泣いてしまいそうだから。

すると、純ちゃんは心配そうに私の顔を覗き込む。

「咲笑、どうした?
具合、悪い?
何かあった?」

ダメ。
他に好きな人がいるくせに、私に優しい言葉なんて掛けないで。

「苑!
アイス持って、2階へ行ってて。」

純ちゃんが言った。

「はーい。」

苑は素直に階段を上っていく。

その足音を聞いて、純ちゃんは、私の肩を抱いた。

「咲笑、どうした?」

私は無言で首を横に振った。


胸が苦しい。

純ちゃんが優しいから。

「咲笑? 言って?
言ってくれなきゃ、分かんないよ。
何があった?」

私は無言で首を横に振るしかできない。
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