極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「そろそろ口を挟んでもいいかしら?」
ずっとカウンターの向こうで料理をしながら、ふたりの様子をうかがっていたミミが、数分ぶりに話しかけてきた。
「ミミちゃん、俺、ハイボールにする。万佑ちゃんは?」
「一緒にいただきます」
グラスや氷を用意しながら、ミミがちらりと万佑を見遣る。
「万佑ちゃん、環くんほどの男は、そうそういないわよ? 忙しいのに時間を割いて、相談に乗ってくれたんだから、なにかお礼をしなくちゃ悪いじゃない。環くんの気持ちを知っててそうしてるんだから、なおさらよ?」
体格のいいミミの迫力と、すらりとした魅力的な環が見つめてくると、ふたりに前後左右を囲まれたような感覚さえする。
逃げ場を失ってしまったようで、万佑はおずおずと口を開いた。
「あの、なにかお礼を……」
「いいよ。気にしなくて。ミミちゃんも意地悪なこと言わないの。万佑ちゃんも仕事が忙しいんだから」
「いえっ! あの……是非、なにかお礼をさせてください」
ミミのせいで万佑が気を使ったと環が言うも、万佑は自分の意思でそうしたいのだと引き下がらない。