極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 まさかの万佑の申し出に、環は驚いてグラスを持ったまま見つめた。


「気は使わないでね?」
「使ってないです。私もそうしたいと思ったので……」

(なにも思いつかないけど……。永縞さんはなにをしたら喜んでくれるんだろう)

 言ったが最後、後に引けなくなった万佑は目を伏せて、黙った。
 お礼というからには、環が望むことをするべきだと思うのだ。


「それじゃ、近々またデートしよう」
「え?」
「俺も異動祝いしてあげたいし」
「そんな、お祝いだなんて」
「遠慮しないで。なんでもいいから理由を付けて、俺が万佑ちゃんとデートしたいだけだから」

 少し話せば、ストレートな想いを聞かされて、心臓が持ちそうにない。
 彼のことが好きになったつもりはないのに、出会ったあの夜から環のことばかりだ。

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