極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「OK?」
「……はい」
返事をできずにいた万佑に確かめた環は、快諾を得てホッとした。
ミミの提案ではあったが、それを鵜呑みにした万佑に付け込んだようで、少しだけ意地の悪い男になった気がしていた。
出会ったあの夜も、失恋した万佑にキスを迫ったくらいなのだから。
(少しでも万佑ちゃんに近づけているなら、よかった)
(デートの約束しちゃった! どうしよう! この前だって、今日だってドキドキして仕方ないのに)
一方、万佑は新たな緊張の種を抱えつつ、環が作ってくれたハイボールを飲んで、ふうっと息をついた。
「万佑ちゃんの理想の男性って、どういう人?」
「理想って、条件を並べるみたいであまり好きじゃないんですけど……。でも、寂しくさせない努力をしてくれる人がいいです。束縛とかじゃなくて、付き合ってるのに寂しい気持ちにはなりたくなくて」
「あら、まだ例の元彼を引きずってるわけ?」
ミミが口を挟むが、万佑は小さく首を振る。
「ううん、むしろその逆。あの失恋でわかったことなの。私、ひとりでいる寂しさよりも、一緒にいる時の寂しさを知ってしまったから、それはもう味わいたくないんだなぁって」
しみじみ話す万佑の横顔を、環はじっと見つめた。