極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
真剣さが伝わる彼の言動に、万佑は頑なだった心が動いたような気がした。
好きじゃない、これは恋ではないと無意識に言い聞かせていたけれど、自分だって出会ったあの夜から、環のことが気になっていたのは事実だ。
それを誰にも知られたくないし、環には気づかれたくないと思っていたのは、彼のことが――。
素直に心の奥と向き合った瞬間、見つめてくる彼の視線が嬉しくも恥ずかしくて、万佑は思わず目をそらしてしまった。
「誰でもいいわけじゃない。俺がこんな気持ちになるのは、万佑ちゃんだからなんだよ」
「永縞さん……」
「何度だって言うし、信じてくれないなら、信じてもらえるまで諦めない。今すぐに返事を欲しいなんてワガママも言わないよ。……だから、俺にチャンスをください。お願いします」
優しくも強く、切なげに懇願するような環の瞳から、彼の想いが伝わってくる。
だけど、まだ応えられるだけの決断はできない。自分の気持ちがどれほどなのか、わからないのだ。
返事はできなくとも、彼の思いと向き合おうと、万佑は「はい」と短く返事を残した。