極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
恋のカタチは、複雑で
「永縞さん、今年も例年通りでよろしいでしょうか?」
「お願いします。ごめんね、仕事を増やしてしまって」
「大丈夫です。失礼いたします」
秘書の宮前舞帆が、ドアを閉めたのを確認してから大きく息をつく。
2月。
街ではチョコレートを大々的に陳列した店が増え、専門店は大繁盛。ニュースでも高級チョコレートや変わり種が紹介され、社内の女性たちもその話題で盛り上がっているようだ。
環は、数年前こそ丁寧に対応していたが、パートナー職に就いてからは、秘書の舞帆に対応を任せていた。
外部から配送業者を介して送られてくるならまだしも、直接渡そうと女性社員の個別対応をこなすのはひと苦労なのだ。
仕事に支障が出てしまうようなことは避けるべきと、密かに秘書に一任してからは、仕事に集中できるようになった。
(万佑ちゃんは、誰に渡すんだろうなぁ。そもそも、こういうイベントは好きなタイプ?)
ところが、今年は万佑のことが気になってしまい、仕事の合間に想い耽っている。