極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「……早く会いたい」

 昨夜も21時頃にスマートフォンから連絡をして、他愛ない話をしたばかり。
 ミミの店でデートの約束を取り付け、真剣に告白をしたが、未だ快い返事はもらえていない。それどころか、異動が決まった彼女も多忙で、デートに誘いにくいのだ。


「万佑ちゃん……」

 ほんのり夕焼け色に染まってきた都心の街並みを眺めながら、無意識のうちに彼女の名前を口にしてしまう。

(末期的だな、俺)

 本気の恋なのに消化不良でいるせいで、仕事の集中が切れると万佑のことばかり。
 次のデートはどこへ連れて行こう、急かすつもりはないけれど告白の返事はもらえるのか、現時点で自分のことをどう思ってくれているのか……。
 まるで恋を覚えたての自分に戻ったようで、こんなにも不器用な男だったのかと自覚させられてばかりだ。


【永縞さんもお仕事頑張ってくださいね!また連絡します】

 昨夜送ってくれたメッセージを読み返し、なにかひと言送ってみようと思ったが、ちょうどブルーメゾンの葛城から連絡が入った。

< 130 / 276 >

この作品をシェア

pagetop