極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「お世話になっております。いかがされましたか?」
『先日お話した件、その後どうお考えになられているかと思いまして』
「お返事に時間を頂戴しておりまして、申し訳ないです。前向きに検討しておりますが、現実的な時期としては夏前、6月頃になるのではないかと思っています。抱えている案件等の都合がありますので……」
『高成(たかなり)社長にはお話されましたか?』
「ええ、もちろんです。高成も了承してくれました。ここから出て、他の企業で経験を積むことで、またコンサルとしての視野も広がるだろうと」

 共にFNコンサルティングの経営を担っている、高成青葉(たかなりあおば)は、いわゆる社長の地位にいて、この会社を起業した人間。
 のちに親交のあった環たちが誘われ、今の経営陣が形成されたので、彼には真っ先に相談済みだ。
 コンサルティングの仕事が楽しい、自分に向いていると改めて実感できたのは、彼の人脈や手腕を近くで見てきたからに他ならない。
 ブルーメゾンの葛城が、環を信用して仕事を依頼してきたのも、こうしてヘッドハンティングしてもらえたのも、高成青葉という男との交流があったからだ。

< 131 / 276 >

この作品をシェア

pagetop