極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 ――2月中旬。

 金曜の今日は、未だ昨日のバレンタインデーの雰囲気が残っている。
 社内ではバレンタインの風習が廃止になり、少し前までの強制的な義理チョコ文化はない。だけど、万佑は異動が決まっていることもあり、個別にお礼のチョコを配った。

(永縞さんは、たくさんもらったんだろうなぁ。内外で人気がありそうだもの)

 万佑は見目麗しい環の容姿を思い浮かべつつ、待ち合わせ場所に到着してスマートフォンの時計を確認した。


「ちょっと早すぎたかな」

 環と約束した時間は19時。恵比寿ガーデンプレイスの時計広場で、万佑は周りを見渡しながら彼の姿を探す。
 20分も早いので、まだ来るはずがないのに、環のような長身の男性の後ろ姿を見つけてはドキドキしながら待っていた。

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