極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「万佑ちゃんを温めに来ました」
「…………」
環はいつも以上になんだか嬉しそうだ。
待ち合わせただけなのに、甘いムードで包み込まれた万佑はくすぐったい想いを乗せた眼差しを彼に向けた。
人目を憚らず、後ろから自分の腕に彼女を包むことくらい、なんてことない。万佑の喜ぶ顔が見られれば、それで満足なのだ。
万佑のためなら、なんだってする。これは本心だ。
彼女が望むことは叶えてあげたいし、夢があるなら応援したいと思う。
ゆっくりと万佑を解放し、手を繋いで予約した店へ向かう。
手袋をしている彼女の手は、二回り小さくて華奢で、守りたくなる。
「寒いから、少し早く歩こうか」
向こうからやってくる環と同じくらいの年頃の男性が、万佑をじっと見ていることに気づき、すかさず一歩大きく踏み出して、視線の間に割って入ったことは黙っておこうと思った。