極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「大切なクライアントと時々来るんだけど、やっぱりミミちゃんの店のほうが落ち着くよね?」
「私も、ミミちゃんのところは友達の家にいるような感覚ですけど、こんな高級そうなお店に来ることはないので、すごく楽しみです!」
異動祝いを兼ねたデートなのに、ミミの店がよかったなんて思うはずがない。
それに、多忙な日々の合間を縫って時間を作ってくれた上、こうして店の予約までしてくれたのだから。
「よかった。この店はすごく気に入ってて、万佑ちゃんを誘いたいと思ってたんだよ」
そうは言うものの、環にとっては万佑が喜んでくれて、一緒にいて楽しんでくれるのが最優先。もし、ミミの店がいいと言われたらそうしようとさえ思っていた。
「永縞さん、ありがとうございます。今度は私がお礼しますね」
「俺も万佑ちゃんに会いたかったし、デートしてもらえるだけで十分だよ。今日はお祝いだから、存分に楽しんで」
並んでソファに座って話していると、アテンドの店員が声をかけてきた。
先に立ち上がった環は、万佑をエスコートするために手を差し出した。