極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
長い廊下を歩き、ガラス戸になったリビングにやってきた。
ひとり暮らしには広すぎる間取りに唖然としつつ、彼が日々を暮らしている部屋に視線を投げる。
モノトーンで統一されたリビングには、テーブルにノートパソコンが置かれたソファセットがあり、その先の大窓はカーテンが開いたままで、夜の街の景色が広がっていた。
窓辺に置かれた観葉植物のユッカは青々とし、壁掛けの絵画の赤が部屋の差し色になっていてスタイリッシュだ。
「ジャスミンティーもあるけど、飲む?」
ダイニングテーブルを挟んだ反対側のキッチンで、環が冷蔵庫を開けている。
万佑は頷いて答え、この現状に追いつこうと必死で頭を働かせた。
タクシーからここまで、彼に抱えられてきたなんて恥ずかしいし、申し訳ない。
身長の割に重いと思われただろうし、ベッドまで占領してしまったのだ。
(告白したばかりなのに……なんてことをしてしまったんだろう)
キスも上手くできず、タクシーでは熟睡。
ムードを壊してばかりの自分に呆れてしまった。