極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 彼は明るく接してくれているけれど、どう思っているんだろう。
 完全にいいムードだったのに台無しにする女なんて、空気が読めなくて最低だと思われていたっておかしくない。

 こんなふうに考えてしまうのも、今までの恋の経験値のせいだ。
 経験と言っても決して多くはないけれど、好きな人からマイナス査定をされるのは嫌だったし、嫌われないようにしようと顔色をうかがう自分も嫌だった。

 だけど、今夜は明らかに自分のミスだと万佑は反省しきりで、環からグラスを受け取った。


「まだ眠いよね? 起こしちゃってごめん」
「いえっ、そんなことは」

 さり気なく背中に手を回し、リビングのソファへ万佑を連れていく。
 シャワーの前に作業していたパソコンを閉じ、後で読もうと思っていた夕刊をラックにしまって、ソファセットの周りをすっきりと片付けた。

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