極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「いろいろって……た、例えば?」
「ん? そうだなぁ……」

 額を離した環が、右手で頬に触れ、親指で唇に触れる。
 ややぽってりとしている万佑の唇の弾力を、彼は熱っぽいまなざしで見つめた。


「どういうキスが好き?」
「っ!!」

(そんなこと聞かれても、なんて答えたら……)

 万佑は視線を逸らして、窓の向こうに移す。初めてそんなことを聞かれたので、答えようがないのだ。


「言えないなら、直接確かめるけど」

 唇の上にあった彼の指が外れ、顎先をとらえた。

 保たれていた距離がなくなり、鼻先が当たる。
 その曖昧な吐息の間で、環は唇を重ねる時を探っているようだ。
 万佑は閉じたまぶたの向こうにいる彼を感じながら、その時を待った。

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