極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 月明かりのない未明に、心地良い温もりと窮屈さで万佑は目が覚めた。

(……いつ眠ったんだろう)

 環と愛し合った記憶はあるけれど、それは途中から断続的なものになっている。
 彼は優しくて慎重なところもあって、だけどひとたび夜になると妖艶さを纏うようになって……。
 まさか、こんなに激しく求めてくるとは思いもしなかった。

(前に愛しすぎて別れたとかなんとか言ってたけど、もしかして……こういうこと?)

 息をのむほど整った寝顔に見入りながら、万佑は自由を求めて身体を反転させた。
 すると、抱きしめてきていた彼の腕が緩み、背後から「ん……」と小さな声が聞こえてきた。


「……どこに行くの?」

 愛しい温もりが遠退いた感覚で、環が目を覚ました。


「万佑ちゃん、ずっとここにいて」

 万佑の背中をぎゅっと抱きしめ、髪に顔を埋めてくる。
 寂しいと言わんばかりにくっついてくる環がかわいくて、万佑は彼の手を握り返した。

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